大切にしていたものとお別れしました

夫にずっとモヤモヤしていたことを伝えた翌日、お気に入りのマグカップが割れた。

2021年に買ったもので、4年半、ほぼ毎日これでカフェオレを飲んでいた。
くすんだ青磁色で、カップの内側にも外側にも、大小の異なる黒い凹みがあって、その素朴な風合いと色味が使い古したジーンズみたいで、お店で手に取った時から身体に馴染む感覚があった。

妊娠、授乳時もノンカフェインに変えて飲むほど、カフェオレとこのマグが好きだった。
他の毎日使う食器は、育児に不向きだからと、全部割れない素材に変えても、これだけは変えられないと思って残していたくらい好きだった。

長男の出産前後はもちろん、次男の病気がわかった時も、夫と喧嘩した日も、出産後次男はNICUにいて、私だけ退院してきた日も、長い付き添い入院を終えて家族みんなが初めて揃った日も、このマグでカフェオレを飲んだ。
私の手のひらから、色んなものを受け取っていたと思う。

そんなマグが割れた。しかも、昨日夫に、次男の闘病を終えてからずっと言えなかったことを伝えて、胸の支えが取れたその翌日に、だ。

いつも通り洗っていたら取っ手がポロッと取れてしまった。
毎日私の悪い気を、ずっと受け止めてくれてたんだと思う。昨日、やっと私の中の憑き物が落ちて、夫が一緒に戦ってくれるだろうって安心して、マグの君は「もう僕が一緒じゃなくてもいいね」って、思ったのかもしれない。私は、一人じゃなかった。君もずっと一緒にいてくれたんだね。

けど、もうお別れなんだね。悲しい。寂しい。
四月の新生活を前に、私や、家族の悪い気をたくさん吸ってくれた君と、お別れしないといけなかったんだね。それを教えるために、君はみずから壊れたんだね。
悲しいけど、手放すことに未練はないよ。

ずっと忘れないよ。だいすきだよ。ありがとう。
また、違ううつわで、私の元に来るよね。私、探しに行くから、待っていてね。